自己紹介の意味

・主催者も知らない「誰がきているの?」

当日のワークショップにどのような人が参加してきているのかは、公募の場合でも事前に参加申し込みをしてもらうなど一定程度の把握は可能です。しかし、あまり参加申し込みの段階で事細かにプロフィールを聞くのも、参加者に不快な思いをさせる危険があります。それに、当日は参加申し込みをしていない人も来ることがあります。主催者として、どのような人が参加しているかを把握できるのは、自己紹介の場と言えます。特にファシリテータにとっては、今後の運営に役立つ重要な情報を得る機会にもなります。参加者がリラックスしているか緊張しているか。人前であまり話す経験が無い人か、逆に話し出したら止まらない人か。この他にも、次のような効果があるので、時間の制約もありますが、自己紹介はぜひ行うのがよいと思います。

・参加者同士、気持ちのありようを知る

どのような参加者の顔ぶれなのかは、主催者はもちろん参加者同士もよくわかりません。時間が許すのであれば、名前だけではなく「どのような思いで、この会に参加されたのか」も話してもらうのがよいでしょう。「あの人も同じ気持ちで参加しているのだ」とか「そんな気持ちで参加している人もいるのだ」とか自分の問題意識を相対的に見ることができます。また、いろいろな思いを抱えて参加してきているのだということを、参加者同士で確認することは、多様な人が集まって創造的な方向で議論するには重要な第1歩といえます。

・お客様ではなく、主人公になる

それから、参加者によっては、従来の説明会のように主催者から一方的に話を聞くという気持ちで来ている人もいます。自己紹介によって自分の思いを声に出して言うのは、参加者一人一人が、「お客様ではなく、主人公になる」良い機会になるでしょう。私たちは、日頃から自分の意見を人前で言うことにあまり慣れていません。最初は苦痛でも、そのうちに「人前で自分の意見を言うことが、こんなに楽しいなんて」と大変身する参加者もいます。

・参加人数により、方法の工夫を

自己紹介では(参加者人数)×(発言時間)が必要になるので、あまり後に時間が押さないように、最初に「ひとり30秒を守って手短に自己紹介をしてください」とうように発言時間は示しておきましょう。それと、あまり長時間になると参加者も飽きてきますので、ファシリテータはリズム良く次々と発言が進むように気をつける必要があります。いずれにしろ、全体のプログラムのなかで可能な範囲ということになります。参加者が多い場合などは、全体では名前だけにして、グループ討議などで参加の動機などを話してもらうこともあります。あと、受付をしたあとワークショップが始まるまでの時間を使い、事前に自己紹介で話して欲しい内容をボードに手短に書いてもらって、発言内容を整理しておいてもらうのも時間短縮には有効かもしれません。