主催者はどうかかわるか

・主催者の挨拶

ワークショップの最初は、やはり主催者の挨拶からでしょう。ここで、主催者の問題について少し考えてみましょう。基本的には、主催者が行政になる場合が多いと思いますが、地域のまちづくり団体が明確に組織されている場合は、共催あるいは地域の組織が主催という場合も考えられます。できれば、行政が一方的に場を設定したというのではなく、地域でも主体的にこの問題に関わっていくのだという姿勢が参加者に伝わることが望ましいと思います。というのは、やはり住民は行政に対して身構える傾向があります。少しでも、最初の緊張感を和らげるのに同じ住民からの挨拶は効果的といえます。

・同じテーブルにつくことができるように

行政の担当者は、ワークショップの際にどうしているのが良いのでしょう。「住民と同じテーブルで議論に参加するのは・・・」とためらう場合が多いのですが、私はできるだけ参加してもらうようにしています。確かにテーブルで、「どうして行政はこの問題に積極的にならないのか」とか、行政批判を受ける可能性はあります。しかし、経験的には6人前後の小グループではあまりそういう場面にはなりませんし、そういう話がでても感情的な対立に至ることはありません。先にもふれたとおりに、1対全体といった教室型の場面では感情的な対立になってしまうことがありますが、住民と同じ目線で議論の参加する場合は逆に相互の理解や信頼が生まれる場合があります。前者が演説型になりやすいのに対して、後者は会話が基本となるからでしょう。行政の担当者は、むしろテーブル議論の場を活用して相互理解を育むようにするのが良いと思います。

・こまった「背後霊」

それに対して、テーブルに参加せずに、後ろから腕組みをして議論の展開を見ているのはマイナスの場合があります。参加者の感想を聞いても、何か監視されているようで気分が悪いという声を良く聞きます。確かに議論に参加せずに「背後霊」のように後ろに立っていられるといやなものですが、それ以上に「行政」と「住民」の距離や関係を主催者がどのようにとらえているかを象徴的に表すことになってしまいます。ワークショップは協働作業の場です。テーブルに参加するのがどうしてもいやだという場合でも、記録を取るとか、温かい飲み物を配るとか、発表の際の補助をするなど何か仕事をするようにしましょう。それも、いやだというのであれば、少なくとも腕組みはやめ、顔には笑顔を絶やさない程度の努力はすべきです。